Steampunk Distopia

Steampunk Distopia


絵1絵2  イラスト:アミジョウ


キャラクター スケジュール
定員:15名 参加申込期限:2015年4月28日
アクション投稿期限:2015年5月5日

 灰色の空気が天蓋を覆う。煉瓦色の街並みも、緑灰色に澱む川面も、全ては街の至る所から吐き出される石炭の煤煙の下。

 暗鬱な通りを切り裂くように、車体脇に歯車を剥き出しにした蒸気馬車が猛スピードで通りすぎた。
「危ないぞ!」
 主人たる貴族の権威を笠に着た御者の罵声。撥ね飛ばされたつなぎ姿の男を無視し、馬無しの馬車は通りの角を曲がって消える。倒れた男の周囲にはどこからともなく出てきた浮浪児が群がり、酒の小瓶、燐寸箱、服の釦、その他ありとあらゆる金になりそうなものを剥ぎ取ってゆく。

 間もなく、降り出した雨が通りを洗う。
 無知で浅学な貧民達ですらその毒性を避け、早々に窓もないじめついた地下室の我が家へと退散するというのに、男はただ呻き声を上げるばかりで、すぐ傍の軒下に身を寄せる事すらできない……。

 彼の命の灯火が尽きようかと思われたその時、一つの足音が近付いてきた。それは、男のすぐ傍で立ち止まる。
「これは酷い」
 老人の声だった。
 古めかしいスーツに身を包み、白手袋に蝙蝠傘を差した老紳士。見事な白髭を蓄えた顔の上で、知的な片眼鏡が瓦斯灯の光を映している。
「運命に抗うかね?」
 老紳士は訊いた。朦朧とする意識の中で、男はその意味が解らない。
「君は、運命に抗いたいかね?」
 老紳士はもう一度訊く。ようやく男は、それが自分に向けられたものである事を知った。死の運命から逃れられるのならと、男は最後の力で首を縦に振る。
「よろしい」
 男へと伸びる老紳士の手。その袖から覗いた真鍮製の腕が、意識を失う前の男が最後に見たものだった。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

マスターコメント

 蒸気機関と歯車の世界、スチームパンクへようこそ!
 今回神魂が見せた夢の世界は、ごく一部の貴族や富豪が人々を抑圧的に支配する寝子島です。が……ガイドに登場した老紳士のように、支配する側でもされる側でもない人々も少ないながらいます。
 今回も、そんな世界に生きている皆さんの生き様をお教え下さい。

▼どんな人達がいるの?
 毎度奇妙な発明を爆発させる博士、あたかもドワーフの如き蒸気機関技師、新型水素飛行船の設計を夢見てばかりの技師の弟子、ダメ亭主とガキ共の尻を引っ叩いてばかりの肝っ玉母ちゃん、スリと窃盗で生計を立てる浮浪児、労働者に鞭打って愉しむ資本家、いつか雇い主を殴り倒したい労働者、格差社会の是正を唱える理想家、その言葉の実現のために闘う蒸気ボーグ、革命と称して暴力を振り撒く破壊者、探偵、怪盗、用心棒、占い師、メイド、その他諸々。兎に角ヴィクトリアンでスチームでパンクな奴らさ。

▼何をすればいいの?
 あくせくと仕事ばかりの日常、家に戻ってからの一コマ、博士の気紛れに巻き込まれる毎日、高級サロンでの優雅なひと時、革命と闘争の非日常……何でも構いません。
 が、特にどんな事をしたいか思い付かなかったら、以下の事件に関わってみてもいいかもしれません。

・事件:寝子島革命
 何者かが労働者の権利を訴え、密かに人々に武装蜂起を呼びかけています。望む者には無料で、戦闘能力の高い蒸気ボーグへの改造も行なってくれもするようです(ガイドの老紳士はそのパトロンのようです)。
 彼らはテオドロスなる思想家の言葉「フツウを死守せよ」を引用し、「誰もが平等に暮らせるフツウを」と主張しています。旧市街に集合後は二手に分かれ、一方はシーサイドタウンをデモしつつ、もう一方は九夜鉱山で労働者を武力で解放しながら、星ヶ丘で合流して貴族らの評議会に乗り込み、革命政府を打ち立てる予定です。
 革命側、貴族側、労働者側、さらには裏で蠢く何らかの思惑……果たして最後に笑うのは?

 参加表明、および参加方法の詳細は二次創作SS広場にて。

サンプルアクション(1)


サンプルアクション(2)


サンプルアクション(3)


  • 最終更新:2015-06-13 00:30:50

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